御祓川大学3周年特別講座「ローカリズムと祭り」

ローカリズムと祭り

2018年10月4日で、御祓川大学は開校3周年を迎えました。能登七尾義塾の特別編として、哲学者の内山節先生をお迎えして「ローカリズムと祭り」というテーマで特別講座が開かれました。

能登七尾義塾は、御祓川大学で毎月行われる「対話による学びの場」ですが、今期は内山節さんの書籍に学んできました。

 

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内山節(うちやま たかし)

1950年、東京生まれ。哲学者。1970年代から東京と群馬県上野村を往復して暮らす。NPO法人森づくりフォーラム代表理事。『かがり火』編集長。東北農家の会、九州農家の会などで講師を務める。2010年4月より2015年3月まで、立教大学大学院21世紀社会デザイン研究科教授。著書『内山節著作集』(全15巻、農文協)、『怯えの時代』(新潮選書)、『日本人はなぜキツネにだまされなくなったのか』(講談社現代新書)、『清浄なる精神』(信濃毎日新聞社)、『往復書簡 思想としての労働』、『<創造的である>ということ 上 農の営みから』『<創造的である>ということ 下 地域の作法から』(以上、農文協)、『文明の災禍』(新潮新書)ほか多数。

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これまでに、能登七尾義塾では『新・幸福論』(新潮選書)、『ローカリズム原論 新しい共同体をデザインする』(農文協)、『半市場経済 成長だけでなく「共創社会」の時代』(角川新書)の3冊を順に読みながら、気になったところを共有し、みんなで話してみたい「問い」を共有しながら、対話をしてきました。

今回は、内山先生本人をお呼びして、私たちの問題意識である「うちの祭りを残すには」という問いに対して「ローカリズムと祭り」というタイトルでお話をしていただきました。

特に、チラシなどは作成せず、Facebookとメッセンジャーだけで集まった約20名の受講生たちが、じっくりと先生の話に耳を傾けました。印象深かったところをピックアップして、ご紹介します。

 

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「保守主義」が改革の力になっている
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ほとんどの地域での活動は「今のままの地域を守りたい」という気持ちが原動力になっている。ただ、ぼんやりと守りたいだけでは守れないので、さまざまな工夫が成される。たしかに、一昔前では、祭りに地域外の人たちが入っていくということはタブーでした。でも、今のままを守ろうとした時に、それを変えたところが残っているんですよね。

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日本の社会は自然と死者と生きている人で構成される
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祭りになると、何とも言えない時空を超えたつながりを感じるのは、そのためなんですね。顔も見たことがない先人たちが築き上げ、守り継いできたこの祭りの流れの中に、自分も置いてもらっている感覚になります。

 
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地方の収支バランスはエネルギーが赤字
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一次産業は黒字、二次産業は少し赤字、三次産業は黒字。全ての産業をひっくるめて、黒字になるはずだが、地方の収支が大幅に赤字になるのはエネルギーを地域外から買っているから。エネルギーの自給が、ローカリズムの鍵。内山先生の住む上野村では小水力発電など、村ぐるみでの取り組みがあるそうです。

 

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行政は、地域という魂は作れない
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地域というのは、行政という機構をつくるずっと前から連綿と続く営みがあるんですよね。その代表が祭りだと思うのですが、地域づくりというと、すぐに行政のことが頭に浮かんでしまう現代の私たちにとっては、ハッとする言葉でした。

 

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「歴史があるといっても、所詮は江戸中期くらいから」
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私たちは歴史、歴史といいつつ、実は新しい世界観で生きている。多くの「昔からやっている」と言われているやり方は、だいたい江戸中期くらいに成立したものが多い。下手すると明治以降だったり、戦後だったり。それを「ずっとやってきた」というのは、視野が狭いかもしれませんね。変える勇気も正しい認識から。

 

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祭りは『われらが社会』の確認である
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自分たちの地域は何を大切にしているのか。それを問われた時に迷わず「祭り」と言えることに、能登の誇らしさを感じます。それは、世の中がどんなに変わろうとも、自分たちはこれが大事なんだと再確認するのが祭りなんですね。

先生の講義を聞いた後、参加者の皆さんで感じたことを話し合い、共有しました。

特別講座を終えて(参加者の感想から)

・なんとなく感じていたことをストンと理解できました

・視野を広げることができた

・哲学だけど難しくなく、おもしろく聞けました

・哲学的視点から地域と祭を知ることができた。そこから更に今後のことも考える必要はある。

・参加者の方のフィードバックもいろんな意見もあり、興味深かった

 

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祭りのあるまちを守り続けるために
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今回、3周年にあたって内山先生をお迎えし、御祓川大学が大切にする「哲学・技術・実践」のうち、一番土台となる「哲学」を確かめることができたと感じています。

「小さな世界都市という未来を育てる」ためには、私たちの地域が、ほかのどのまちでもなく、「私たちのまち」でなければなりません。その「私たちのまち」を確認するのが祭りであり、その祭りを守るために、何を変え、何を変えないのかを常に問いながら、技術を磨き、実践を通して持続可能な地域をつくっていきたい。そして、そこに関わる人たちが自分らしくあるために、これからも御祓川大学でチャレンジを続けていきたい。そう、想いを新たにすることができました。

うちの祭り、どうやって残していけばいいだろう。そんなお悩みを持っている方がいらしたら、ぜひお気軽に御祓川大学にご相談ください。一緒に悩み、守るためのチャレンジを応援します。

 

     
     

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