まちづくりは話し合いの連続だ。
こんなまちをつくりたい!言うのは簡単だけど、実現するのは大変。
まちづくりは、一人でやるものではなく、人々が話し合って決めていくことの積み重ねです。
ところが、会合に人が集まらない、一部の人にばかり仕事が集中してしまう、決まったことが実行されない・・・
などなど、まちづくりの現場は悩みに満ちています。
そんな迷走する会合を交通整理し、参加者の力を引き出しながら前に進めていく役割を「ファシリテーター」といいます。
ファシリテーター道場中級編は
まちづくりのワークショップだけでなく、会社の会議でも身に付けておきたい
ファシリテーターの哲学とスキルを理論と実践を通じて学ぶ全10回の連続講座です!
講師は、御祓川大学学長の森山奈美が務めます。
第7回「ノミナルグループプロセス」
8月15日に行われた第7回「ノミナルグループプロセス」の様子をお伝えしたいと思います。
ブレーンストーミングだけでなく、意見を集約し結論を出したいとき
そんな時に役立つノミナルグループプロセスについて学びました。
まずは、今回でもう7回目ということで改めて今後のプログラムについて説明をしました。
カリキュラム通りこんな予定で進めていきます。
それに向けて次回の第8回では様々なファシリテートのプログラムデザインをアラカルトで紹介。
第9回では、プロセスデザインということで、何か題材を決めて複数回のワークショップを組んでみます。
そして最後となる第10回に実践ワークショップとして実際に自分たちでワークショップを
計画して、講師のフォローなしでファシリテートをするというカリキュラムとなっています。
最初に次回実践で学ぶプログラムについて先にさらっと復習をしました。
今までに説明しているものがいくつかあったのでわからないものだけ見ていきます。
○ウィッシュポエム
理念や計画の一番上位の概念を話し合いするときに使う手法
みんなのこうだったらいいなというふわっとした希望を引き出していきます。
例えば「こんなまちにしたい」のような目指す未来像のイメージをふくらましていきます。
・絵を組み合わせて行う場合(ビジョンゲーム)
ビジョンにつかいそうな写真や絵をたくさん用意しておいて、
それぞれ自分のビジョンに近いものを4枚ほど選んで組み合わせていきます。
発表して、選んだ理由を発表していきます。
その後グループの人が選んだものを取捨選択をしながら組み合わせストーリーを作ります。
ストーリーは絵コンテのような形式で作成して、紙芝居のように発表するという手法です。
・言葉のみでやる場合
「こうだったらいいな、私たちの○○」、「こうだったらいいな、私たちの○○」と連詩形式で
発表していき、最後に「だから○○私たちのまち」といったポエムを読むというやり方です。
ちょっと発表が恥ずかしいけど、面白い手法ですね~。
○旗上げアンケート
講座や講演などで聞いている人の数が多い時に使えるテクニック
1~5までの番号のカードや赤青白の3色のカードなどを用意しておいて
簡単なアンケートに参加してもらうとき、いくつかの答えの選択肢を提示して旗を揚げてもらいます。
例えば、「どこから来ましたか?」と尋ねたいときは
七尾市の方は①、能登からの人は②、金沢の人は③と選択肢を設けて答えやすくするという手法です。
このように使える手法ってたくさんあります。知っておくと便利なものばかりですね。
さて、今回学ぶノミナルグループプロセスはかなりボリュームの多いプログラムとなっていて、
KJ法やファシリテーショングラフィックなど様々な手法を駆使して、一つの結論を出したいときに使います。
KJ法のようにアイデア出しをしてまとめるだけでなく、優先順位付けをして次のアクションにつなげることができます。
そんなノミナルグループプロセスについて、まずは講義で理論を学びましょう!
ノミナルグループプロセス(NGP)の手順
①アイデア出し
STEP1.テーマを決めて、全員が見える場所に掲示します。
STEP2.全員が話しをせずに、できるだけ多くのアイデアを書き出します。
(一人ブレーンストーミング)付箋紙に書きましょう
STEP3.考えたアイデアの中からひとつを選んでグループ内で順番に発表します。
発表した付箋紙は、一覧表の広い欄に貼り付けます。同じ意見を書いた人は、同じ欄に付箋を貼ります。
でてきたアイデアを全員が見える場所に番号をつけてリストアップします。
それをアイデアが出尽くすまで続けます
STEP4.リストアップされたアイデア全体を見渡し、全員で議論します。
(アイデアを順番に議論するのではなく説明が必要なアイデアのみ議論します)
STEP5.追加のアイデアがあれば、リストアップし、
全員がすべてのアイデアを理解するまで続けます。
②アイデアの優先順位付け
STEP6.メンバー全員に投票用紙を渡します。
最も優先順位の高いアイデア1位から5位を番号で選びます。
順位ごとに点数を決めます。(1位は5点、2位は4点、3位は3点など)
STEP7.休憩を取り、その間に投票用紙の点数を集計し、
高得点のアイディアから全員が見える場所に書き出します。
STEP8.休憩後、全員で、優先順位付けされたアイディアについて、議論をしていきます。
上位のアイディアについてはその理由を、上位に入っていないアイディアについては
議論すべきものがあるかどうかを検討するような質問をしながら、議論を進めていきます。
STEP9.再度投票用紙を配り、優先順位付けし、その結果で議論を進め、結論をだしていきます。
NGP実践 テーマ「夏休みの過ごし方」
今回のファシリテートは、講師の森山が担当します。
お盆休み真っ最中の開催ということで、話し合いのテーマは「夏休みの過ごし方(5日間くらい)」に決定。
○アイデアリスト作り
テーマを掲示(ステップ1)して早速開始!
そしたら、アイデアをたくさん出すステップ2です。
参加者は各自1枚ずつA4のメモ用紙に、自分が思いつく夏休みの過ごし方を書いていきます。
5分使って、全員が話をせずにブレーンストーミングを行うわけです。
5分経ったらステップ3、1人1アイデアずつ順番に発表していきます。
アイデアがかぶったら自分のリストから消していきます。
この時点では、どのアイデアが優れているといった話はしません。
淡々と発表していき、すべてのアイデアを1枚にまとめ番号を付けます。
メンバー5人で42このアイデアが出ました!
アイデアがすべて出たらステップ4
一つ一つのアイデアについて全員が理解できているかを確認します。
ここで、丁寧に確認をしないと認識のズレが生じやすいので注意しましょう!
今回は、テーマが簡単だったため、難なく終わりましたがこのステップは重要ですね。
全員が理解できたら追加のアイデアがないか確認します。(ステップ5)
○アイデアの優先順位付け
アイデアが出そろったので、優先順位をつけていきます。
まずは、ステップ6投票用紙を渡し投票します。
今回はA4用紙と付箋を使って、投票用紙を作りました。
順位ごとに点数は、(1位は5点、2位は4点、3位は3点、4位は2点、5位は1点)です。
各自、5枚の付箋に順位とポイントを描いた付箋を作ってもらい、前のボードに貼ってもらいます。
それが終わったらステップ7集計です。
集計は、暗算などでしてもいいですが、順位付けや並べ替えをしやすいExcelを活用すると便利です。
集計の様子はこんな感じ。
集計が終わったらステップ8、高得点のものからもう一度議論していきます。
順位としては、1位が「海外旅行」、2位が「寝る」、3位が帰省でした。
しかしここで終わりではありません。ここからがNGPの面白いところです。
ここまで、個人としての夏休みの過ごし方について考えてきましたが
ここからは個人ではなく、参加メンバーみんなで過ごすならどれを選ぶかを考えていきます。
視点の変更を行い再度議論していきます。
そうして見直すと、上位の中にはみんなでやるのが難しいものもありますね~(笑)
なにならみんなでできるかなとか、みんなでやりたいかといった議論をしました。
議論が終わったら、ステップ9最終の投票をしていきます!
今度は先ほど票が入ったものの中から、各自1~3位までの3つを選びます。(1位3点、2位2点、3位1点)
ここでは、付箋ではなく各自口頭で言っていき、Excelで集計していきます。
集計の結果順位が決定しました!!
1位はなんと「アイスの食べ比べ」です。女性が多かったこともあり圧倒的な人気で1位!
3位以下の順位もばっちり決まってNGPは終了!
振り返り&まとめ
○NGPをやってみて
普通の会議だったらやらないプロセスがたくさん盛り込まれているNGP
面白いのは、最終的に選ばれたのは、最初の投票とは異なるものだったこと。
個人がそれぞれやりたいことの中から、みんなでやりたいことを選んだことで
かなり全体の納得度が上がりました。
何をやったらみんなが楽しいのという答えを出すことって、結構難しいですよね。
NGPを活用することで、みんなで話し合ったうえで納得度の高い答えが出せるんです。
そんな、最終的な答えを納得いくものにしたいとき、有効な手法がNGPです。
この手法は、比較的簡単なステップでできるので、皆さんもやってみてはいかがでしょうか?
以上、ファシリテーター道場中級編の第7回 講座レポートでした!
次回の講座は、8月29日(月)に「いろんなプログラムデザイン」を開催します。
多様なワークショッププログラムを知っておくことで
経験の引き出しの中から最適なプログラムを引き出そうということで
「ビジョンゲーム」「ウィッシュポエム」を体験します。
受講のお申し込みはこちら
コメント